コールドマウンテン

レニー・ゼルウィガーだけを観に行った。天下のアカデミー助演女優賞様なんでございますから「シカゴ」のキャサリン・ゼタ・ジョーンズばりにばりばりと活躍! と思ってスクリーンを眺めていても一向に登場せず。露骨な錯時的構成で中盤に同調するという流れだったんだけども、そこでやっとゼルウィガーちゃん登場。この人の声はたまらなく作り物感がして好きだ。自然体な演技とかいうわけのわからんものよりもはるかにいい。自然体な演技の方がより感情移入できる…ってそれは「自然体な演技に感情移入させる」演出のたまものである。キムタクとかは別にあれは自然体ってわけじゃなくてちゃんとした演技でしょ、田村正和的な演技。どの作品でもほぼ一緒。それは別に悪いことじゃなくそういうやりかたであって、演出側制作側もそれをわかって面白く仕立てているのだから。
主人公の人間的成長を促すという役柄なんだろうけども、どうも中盤過ぎてからが急々すぎて、レニーの役割がそこまで大きいものだったのかってのがわかりにくい。ぽんぽんと脇役で出てきた人をぶっ殺しまくる映画で、その分描き方が分散してしまっている。エンディングも妙に気持ち悪い。強烈に浮いているエンディング。もちろんこの幸せの裏にこれまで延々描いてきた悲劇があるんだよという露骨なメッセージでもいい。その幸せっぷりはあっけにとられる以上に、薄ら気味悪いものを感じさせるという点ではうまくいってるのか。もちろん制作側は単にハッピーエンディングにしただけかもしれないけど。