アイドルグラビア史をざっくりと味わうためのブックガイド

アイドル誌やカルチャー誌のモノクロページで思い出したように編まれるアイドル史特集。今号の「STUDIO VOICE」では「グラビア」の方に当てた特集がなされた。「グラビア写真の魔力」とな。普段は歩かない書架であっても、京本有加が平積みされていたら足が向く。
篠山紀信野村誠一などのカメラマンインタビューから南明奈原幹恵といった旬のグラビアアイドルインタビューまで、ベテランカメラマンの縦、グラドルの横、視点の交叉が心地いい。
アイドルグラビア史をざっくりと味わうためのブックガイド、とはいえ雑誌はもちろん、当時の写真集は見かけることすら難しい。思い出の中にあるブックガイド。「女性目線」「パーツで選ぶ」「グラビアの見方を変える」「プレミア」「写真史に残る」という切り口で数点づつグラビアを紹介している。
中でも充実しているのが「年代別重要被写体リスト」。70年代から00年代、そして次世代アイドルへ。グラビアを飾る「被写体」たちのリストが続く。初版年月日さえあればベストだったけど、ざっくりと十年づつの注目すべきグラビアアイドルたちが並んでいく。客観的にアイドル史の中での位置づけをなそうとしながら雪崩のように個人的感情がレビューに満ち溢れていく感触は極めて共感できるし、同じくらい反感を覚える。そこだ、アイドルのそこが好きだったんだな、って思う。
どういう理由だか厳密なアイドル史とかを勉強したいという人たちには物足りないけれども、グラビアと共に育ってきた僕らが自分を振り返りたいときに手元にあると嬉しい。

STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2008年 05月号 [雑誌]

STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2008年 05月号 [雑誌]