岩田さゆり「初水着」写真集『花風と橙』

「初水着」という売り文句を信じて、写真集を買う。どれだけ魅力的な人物が撮られて、どれだけプレシャスな世界観を作り上げ、底抜けの可愛さを演出したとしても、「水着」という売り文句を掲げた以上は、「水着」を魅せてもらわなくては困る。
「水着」という言葉には都合のいい解釈が湧いて出る。ビキニやワンピースタイプ水着はまがうことなき「水着」であるが、チューブトップやパレオも「水着」にくくられ、挙句の果てにはホットパンツまでも抜け抜けと「水着」と主張する世の中には改革が必要である。「水に入れば水着」という無茶苦茶なこじつけが売り文句として成り立つならば、喜んで隠遁生活へ入ろう。
かつて「水着」を謳って「上半身ブラ+ホットパンツ」という夢のない仕打ちを受けてきた。上戸彩『Breath』*1が代表的で、ブラ+短パンという限界の「水着」にはしばらく呆然とした*2皆藤愛子『あいこ日和』*3に至っては、新聞記事などで「水着にも挑戦」と煽ってきた末は、赤ワンピースでプールに入っているだけという始末であり、途方にくれた*4
「水着」の有り無しだけが写真集そのもののの価値を確定させるわけではない。チューブトップやホットパンツにはそれ自身の魅力があり、何より主役であるアイドルの凄まじいポテンシャルが写真集としての愉楽を産む。たとえば、「水着卒業」を宣言した後の相武紗季が発表した写真集『surf trip』*5は宣言どおり「水着」の無い写真集だったが、肌に張りつく服が現すボディラインの生々しさはかえって際立ち、比類なき価値を覚えた*6
結論を言うと、岩田さゆり写真集『花風と橙』はブラ+短パンに留まり上下ビキニの期待は断たれ所謂「水着」とは呼びたくない「半水着」であったが、岩田さゆり自身の可愛さは1st写真集*7時より固められて、表情の幅も広げられ「正統派アイドル」の写真集としては真っ当なものだった。眉のフラットさと前歯の強さホホ肉の盛りは新垣里沙根本美緒っぽさを纏う可愛さ。1st時の初々しい狭さが心地よく可愛いと思う私には、いくら胸の谷間や内乳房を披露してこようとも、アイドルとしての行く末が僅かに心配になった。
岩田さゆりファンなら買って正解。

岩田さゆり写真集『花風と橙』

岩田さゆり写真集『花風と橙』

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