相武紗季写真集が僕の狭量な写真集観に開けた風穴
2年前に発売された前作写真集*1を最後に、「水着」を卒業したはずの相武紗季。ここに来て写真集を出すというのだから、ああ相武紗季も「女優」写真集を出してしまうのかなあ、と正直なところ心配をしていた。
ところが、「水着」なんて着なくても相武紗季はアイドルとして立派に写真集を魅せてくれたのだ。ありがとう! この写真集は僕の狭量な写真集観に風穴を開けてくれた。
ヤングジャンプの先行グラビアで魅せたとおり、相武紗季がサーフィンを楽しむ様をこれでもかと詰め込んできた。写真集タイトルも『surf trip』。この場合にボディスーツだけでお茶を濁すパターンもあるけれど、相武紗季は僕らを裏切らなかった。
水着の上から来たタンクトップ。当然のように水に濡れ、透け、ボディラインにフィットする。ビキニだと気の回るウエストも、タンクトップを着ている安心感からか、見事なリアルさを持って肉の緩さを表現してきた*2。
人間の肌感触を垣間見せる「濡れタンクトップ」姿があるからこそ、ボディスーツも真価を発揮した。腕、胸、腹、恥部、ヒップ、ふともも、それぞれが主張する「肉感」は価値を異にする。それを乱暴に包みこみ画一化してしまうボディスーツが作り物風味の役目を担って、相武紗季がいまだ漂わせる垢抜けなさを引き立てる。肩まではだけたボディスーツ、露わになった相武紗季が生身のエロさを真っ直ぐに魅せてくれた。
焼けた肌、乱れる髪、垢抜けなさ、汗のある生々しい質感を持ったカットたち、相武紗季が写真集で魅せ続けるこの感触は、ああそうだ、初期の加藤あいが週刊プレイボーイ辺りで魅せていた感触か。
「水着」と言って水着を見せない写真集、「人間」を見せようとし過ぎて生々しさをどぎつく出してしまった写真集、定着している魅力を「新境地」なんて言葉でアーティスティックに勘違いさせた写真集。僕が嫌いな写真集の要素を持ち合わせているのに、見事な出来映えでエロさを携えた相武紗季写真集に脱帽。
もう1つ挙げると、モノクロを多用してくる写真集は好きじゃなかった。こちらはアイドルを見たくて写真集を買っているのに、どうして色を抜いてくるのか。その作為はいらないだろう、と。
でもこの写真集のモノクロは印象が違う。相武紗季のボーイッシュスマイルはモノクロに映える。モノクロはコントラストに気を引かせるから、相武紗季のように笑顔にはっきりとした変化があり、しかもタンクトップというボディラインをコントラストで魅せる武器を選んだことが、勝因なのかな。
写真集における「見開き」だけには、本の質量のために折角の写真を完全に見ることが難しく、相変わらず疑問があり嫌気が差すけど、そのほかの僕の嫌いな写真集要素を集結させておいて見事に昇華させてしまった相武紗季写真集を、素敵だな、と思って。
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何となく広末涼子の写真集ムックと、いい意味で似ている。
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