後藤真希 『後藤真希写真集』 撮影・久保田昭人 発行・ワニブックス

日本を代表するアイドルグループになってもう2、3年は経つのであろうか。そろそろ先が見えたといわれても、彼女らの代わりがいないうちは、彼女らがトップアイドルグループである。そのモーニング娘。の代表格の後藤真希の写真集である。「人気、実力ともにNo.1」と言われている後藤真希の初ソロ写真集はセールスを義務付けられていたのだ。
この写真集は我々の意表をついてきた。先行して販売された石川梨華吉澤ひとみの写真集が、別段にお色気も水着もなく、という作りだったために、後藤真希だからこそなおさら誰も期待はしていなかった。しかし、水着はあったのである。これはとんでもないことだ。
後藤真希が加入直後に発売された写真集、『モーニング娘。2巻』には全員の水着姿が納められていた。後藤真希の参加が期待されたが、このときはかわされた。それが2年近い時を越えて、やっと実現されたのだ。
実に表情豊かな、後藤真希が載せられている。大人の魅力というよりは、年相応のキュートさを前面に押し出しているように思われる。テレビから受ける印象とは違い、地元のお嬢さんという趣きすら見せてくれる。まったく背伸びをしようとはしていない。また、まったく背伸びをさせようともさせてはいない。かといって、「等身大」という月並みな表現も似つかわしくない。私達読者は「等身大」の後藤真希をしらない。ブラウン管を通しての、または演出を通じての後藤真希しか知らない。
アイドルにおいてはこれは当然のことではないか。それでも「等身大」ということばが横行していることを考えると、アイドルに等身大を求める傾向があるのではないか。私もそうだ。だが、後藤真希には「等身大」が感じられない。これは全く不利な材料ではない。むしろ、後藤真希の持つスター性がこのような印象を与えてくるのだろう。
モデル的な美少女像を後藤真希に見る。美少女像だけではない。パーツだけを見ると確かに美少女ではないのかも知れない。しかし、そのスター性がモデル的要素を強く形作るのだ。
この写真集は紛れも無く傑作だと思う。