和月伸宏先生の作品が読めるのはジャンプだけ

というわけでハンター×ハンターを除外すれば、今のジャンプで最も注目されるべき『武装錬金』ですが、当初の打ち切りピンチから大逆転というすばらしい展開をみせております。10週目には和月先生自ら巻末コメントで「なんとか10週続けることが出来ました」と安堵するくらい薄氷の上を歩いていたわけです。蝶野攻爵(1回目)が惨殺される辺りからいきなり面白くなってきました。そしてシリアスな展開の中に流れるギャグの底流、始めの方はちぐはぐでそれこそ稀代のズレギャグ漫画『Mr,FULLSWING』のちぐはぐさに匹敵はしないものの追いすがるほどのズレ具合だったけど、今はむしろ従来の設定に対する読者側のツッコミという立場のギャグを狙っているのでかなり差別化が図れてすばらしいと思います。というのもギャグ漫画って自分で笑わせるための設定を作って自分で突っ込むというあからさまな作為性があるから、そもそもの設定(ボケ)が面白くないと、『Mr.FULLSWING』みたくどうしようもないギャグ漫画っぷりを示してしまうのだけど、この『武装錬金』方式なら最初真面目に作った設定に対して一般人の目から突っ込んだらどうなるかという視点なんでそうそう大外れしてしまうこともなくなって読みやすくなってます。別冊マーガレットでやってた『×(ペケ)』に近い感じ。ありゃどちらかといえば風刺だったけど。
んで、その和月先生が巻末コメントで『リベリオン』のGUN-KATAについて触れてるんだけど、ああやっぱこの人はこういうの好きなのね、と納得。『リベリオン』はクリスチャン=ベールが銃を用いた接近戦をたたき出す凶悪アクション。下手をしたら今年のムービーオブザイヤーを私の中でとらんがばかりの暴れっぷりです。GUN-KATAは一見の価値があって『チャーリーズエンジェル フルスロットル』なんかより遥かに羽目を外しすぎている。アクションのバカさっぷりではGOGO夕張のゴーゴーボール(というか鉄球)とどっこいどっこい。WINS浅草前という狙い済まされた立地に建つ浅草中映で観たんだけど、笑いこらえるので必死。銃は殴り合うものだということを知りました。