ジョゼと虎と魚たち

観てきた観てきた朝っぱらから渋谷シネクイント! 『ジョゼと虎と魚たち』! 朝10時にパルコ上ったの初めてででもあんまり人いないから落ち着いていける…と思いきや!
ほぼ満席! 最終的には立ち見まで出る始末! なんじゃこりゃ?
池脇千鶴が脱ぐ! というウリがひたすら先行してたように思えたけど、客層はお洒落さんばかり。アイドルおたくさんはごく少数しか見受けられない。どういうことだろうこの状況は。口コミかなぁ。確かに恋愛映画としてカルチャー誌やファッション誌では流布されてるから、それもあるのか、あ、まぁシネクイントだし。これがもしも浅草中映とかでの上映だったら客層はもっと香ばしくなったのかどうか。
というわけで池脇千鶴が脱ぐ! という前評判はあるもののそれを意識しての来場は少ない様子。どういうわけかカップルも少なかった。多いのは女性同士の20〜30代。たまーに黒髪長髪のおにいさんがいるけど、気にしない。
上映開始。大阪のノリで話はかなりテンポよく進む。違和感はほとんど感じない。こういう映画の主役の男って、だいたい純情一直線なんだよ本当は、ってな奴が多いけど、そんな時代錯誤な妻夫木聡君じゃなく、恋愛に関してはなかなかドライな妻夫木聡。それでいて親しみがもてるのはなんか頼りなさげなツマブキ君のキャラクターか。
場内、大阪ノリに笑いが巻き起こる。軽妙な笑い、言葉の重さがすさまじいコントラストを持っている。同じセリフでもその印象を変化させる手腕、演出の力か大阪弁の力か。
展開は中盤までは文句なし。後半はややだれるけども許容範囲だと思う。オチは好みがわかれるだろう。リアルといえばリアル。ただこういうフィクション内におけるリアリズムってのはこんなリアルとは違うんだろう。こういうのを突きつけられて、観客はどう感じるのか。評価サイトは私の例を漏れず偉そうに振舞うから(というか感想を言うという行為がすでに自覚的なため)、観に行った友人を探しているところ。
まぁぐだぐだ書きましたが、この映画は池脇千鶴の一人勝ちの恐れがでてきた。大阪弁という池脇千鶴の得意分野だからというのがあるかもしれんし、(マスコミ的)大阪弁自体がもつ破壊力が多分に影響しているのだろう。そんな邪推を生むほど、ぎりぎりの演技を見せてくれる。やもするとキチガイ役はそのキチガイっぷりで演技をごまかせるんだけども、池脇千鶴演じるジョゼはキチガイではない。ぽつりぽつりと搾り出される一言一言が激しい。これほどまでにセリフ一言一句に注目をせざるをえない映画も珍しい。それは池脇千鶴自信の演技力の集成だ。あ、くるりの主題歌は必要性がいまいちわからん。まぁ、おされテンションってことで。
そして映画終わって階段で下りようとすると、階段には長々と行列が。うわー。
後半がだれるのも前半までの軽妙さとの比較によるもの。池脇千鶴のヌードだよん! というレッテルが剥がれて、映画そのものへの評価がなされているんだろう。
脇役ではジョゼのババァ役の新屋英子、軽いのか何なのか複雑なんだね女の子って、の上野樹里がすさまじい。ババァはキチガイじみてるから禁じ手として、上野樹里はディープキスはやるはでかなり体当たり演技。私には池脇千鶴がわざわざ乳首だした理由がわかりません。上野樹里は乳首こそだしてないにしても、池脇千鶴よりも演技的にはエロい。そういうのを期待するのなら池脇千鶴よりも上野樹里の方に注目したほうがいいと思う。池脇千鶴は脱がなくとも十分に観客を圧倒してくれる。
今年の邦画は、最後の最後でとんでもないのがきた。