年末とテレビ

あと10日ほどで今年も終る。さらには今世紀も終るわけで、いよいよ世紀末だ。しかし今年は全く年末という感じを受けない。そりゃ、外に出れば寒さも厳しくなってきているし、やたら目に触るクリスマスのイルミネーションもうごめいている。しかし、それがことごとく、年末の一種独特の雰囲気、わくわくするような昂揚感と締め付けられるような緊張感、それが感じられない。
それはテレビと言うものが私達に与える影響というものに注目することで解明する。普段からテレビを見ない人は除いて、私達は総じて、テレビを通して、一般的な時節の雰囲気を感じている。当たり前のことだが、正月にテレビをつければ、晴れ着を着せられた女性陣がはしゃぎまわり、クリスマスにテレビをつければ、癪に障るだけのムード映像が流れ、夏の真っ盛りには意味も無く半そでの男達が昆虫を探しに行く、などなど。
テレビが季節を浮き彫りにしていると言っても良いくらいだ。そういえば私は最近テレビを見る機会が少なくなった。今までいかにテレビに時節を頼っていたかが分かる。その年の総ざらいみたいな企画を立てている番組が多数放映される。テレビ欄でも時節は感じ取れるだろう。私達の季節概念を強調するのはテレビである。