北川景子と読書と
「美少女戦士セーラームーン」実写版で火野レイことセーラーマーズを演じる北川景子さん（1986年生 17歳）、彼女は一部ファンの間で「読書家」として有名だ。
「（どの作家が好きかとの問いに）三浦綾子さんの本が好きですね。それと最近は司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』を読んでます。今１巻を読んでるんですが、すごく面白いです」（「特撮ニュータイプ」３月号 角川書店）
「（恋愛相手の理想像の話題で）『塩狩峠』っていう小説に出てくる主人公に憬れたりしたよ。列車の事故があって、自分が線路に寝そべって列車を止めて、自分は死んでしまうの。そういうことができる人って、かっこいいと思う。」（「HERO-in! 2004」 主婦と生活社）
「もう秋ですね。読書の秋、ということで私は今『ライ麦畑でつかまえて』を読んでいます。結末が楽しみです(o^∀^o)」（「美少女日記」10月14日分 CBC公式）
「（お年玉で買った電子辞書に日本史用語も入ってるという話題で）毎日、撮影の空き時間に歴史上の人物名とかを調べて遊んでます(-^∇^-)/*1」（「美少女日記」1月20日分 CBC公式）
「（イチオシ本に山崎豊子『二つの祖国』、オススメ本に三浦綾子『塩狩峠』を挙げて）私は、１回目は主人公の立場で、次は別の人（恋人や妻）、って見方を変えて何度も読むの。」（「SEVENTEEN」No.4・5*2 集英社）
北川景子は現在高校２年生。三浦綾子を読む女子高生アイドル！ 三浦綾子の小説を読むときに、一般の読書家はキリスト教を念頭におくと思われる。でも今の子たちが三浦綾子を読むときにもその先入見は発揮されるのか。作中のキリスト教要素をどう捉えていくのだろう。芥川龍之介『奉教人の死』も同じようなインパクトを与えるのだろうか。そういえば今週の実写版セーラームーン第17話は教会が舞台。そして北川景子は巫女の役。いや、この辺り面白い。
いや、単純にシバリョウや三浦綾子や山崎豊子を女子高生が手にするってところに感動した。『氷点』ブームから入ったのかなぁ。三浦綾子には。「読書離れ」ってのはマスコミが作り出した幻想か？ いや、そりゃ私も実感は出来る。
女子高生が読むっていえば桜井亜美や『世界の（ｒｙ』とかYoshi（『Deep Love』）あたりじゃないんか、あ、桜井亜美はもう古いのかもしれない、綿矢りさや金原ひとみは同世代的に捉えられてるのかな。そんな偏見。
挙げた「SEVENTEEN」の企画では他のモデルたちも「感動本」を紹介してるんだけど、北川景子だけがいわゆるひとつの「純文学」。まぁ本に貴賎はなくて読みにかかってる。女子高生にとって『Deep Love』と『ヴィヨンの妻』、どちらが優れた小説かっていうと、おおかた前者なんじゃなかろか。まー綿矢りさは女子高生時代に『ヴィヨンの妻』好きですって言ってるけど（『文藝』2002年冬号）。太宰治好きの女子高生ってどのくらいいるのかなぁ。つーか年齢だけで「女子高生」って十把一絡げにするのはすんげぇ乱暴だな我ながら。
Z旗に思いをはせる女子高生、北川景子。皇国の興廃この一戦にありアイドル、北川景子。ここから正岡子規辺りに走ってほしい。
「北川景子公式サイト」
三浦綾子『塩狩峠』ISBN:4101162018
司馬遼太郎『坂の上の雲』１巻ISBN:4167105764
山崎豊子『二つの祖国』上ISBN:4101104190 下ISBN:4103228121
ジェローム・デビッド・サリンジャー*3『ライ麦畑でつかまえて』ISBN:4560070512（野崎孝・訳） ISBN:4560047642（村上春樹・訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』）
